欲望という名の痴漢電車

新東宝

2010.10.18

道子と佳子は電車の中で男を誘惑し、痴漢するとそれをタネに金を巻き上げていた。北島は道子に痴漢してから彼女が忘れられなくなっている。佳子は道子の妹分だがまだ男を知らず、道子を恋人のように慕っていた。ある日、道子が中年の男から未発売のフロッピーを抜き取ったことから意外な事件が起こった…。

作品情報

シチュエーション	電車
ターゲット
見た目
服装
女優
メーカー	新東宝
シリーズ	痴漢電車（新東宝）
収録時間	59分

朝の通勤ラッシュ。満員の電車の中で、彼女は何とかつり革を掴んで立っていた。息苦しいほどの人混みで、周りの人々の身体が密集し、せわしない気流が行き交う。周囲の喧騒の中、彼女は携帯電話の画面を無心で見つめていた。周囲を気にする余裕などなかった。そのとき、後ろから思いもよらぬ感触が彼女の太ももに触れた。一瞬、驚きと戸惑いで身体が固まった。「まさか」と思いつつ目を閉じ、気を紛らわせようと携帯の画面を再度凝視する。しかし、何度も同じ感触が続く。その手は徐々に移動し、彼女の身体が密集した人々の中で隙間なく囲まれていることを逆手に取るように、彼女の臀部にさえ触れてくる。心臓が早鐘のように打ち始める。周りには他の乗客がたくさんいるのに、なぜ誰もこの行為に気付かないのか。恐れが全身を覆い、彼女は身体をわずかに動かそうとしたが、完全に身動きが取れません。近隣の人々の表情は、携帯電話の画面に熱中しているか、まったく無関心だ。彼女は、見えない壁に押し込まれているかのような絶望感を覚える。強引に押し付けられる感触。次第に忍耐の限界が近づく。彼女は振り向く意志を持つも、その恐れが足を縛っている。視界の端に、彼女を囲む乗客たちの無表情な顔が映る。まるで自分だけが異質な存在で、周囲の人々が自分を見ていないかのように感じる。そして、電車が急ブレーキをかける。身体のバランスを崩し、彼女は後ろの男に寄りかかる形になってしまった。その瞬間、彼の手はより大胆になり、彼女の身体を容赦なく扱い始める。彼女の心の中で叫び声が響くが、それは声にならず、混雑の中に飲み込まれていく。このままではいけないと、彼女はなんとか反応しようとするが、それが一瞬の出来心で止まってしまったかのような気がした。さらに、他の乗客たちの何気ない視線が彼女の動きに遮りをかけ、助けを求めることさえも叶わない。体験する恐怖と無力感が、日常の中に潜む悪の顔を鮮明に映し出す。彼女は、心の中で懸命に「誰か助けて」と叫び続けるが、その叫びは誰にも届くことはない。ただ、無表情な人々の中に埋もれていく恐ろしい現実が、彼女を包囲していた。行き場のない感情が、彼女の胸を締め付け続ける。電車が駅に到着し、扉が開く。乗客たちが一斉に動き出す中で、彼女は根元から動きを奪われたように立ち尽くしていた。周囲の流れに引き込まれるまま、彼女は出口へ流されていく。果たして、彼女はこの恐怖から逃れられるのだろうか。彼女の心には、重い不安の影が広がり続け、その影が決して消え去ることはなかった。